【レシピ付き】脂質異常症(高脂血症)における食事療法の7つのポイント
- HEIWA SOTOMURA

- 7月24日
- 読了時間: 12分

「悪玉コレステロール値や中性脂肪値が高いと指摘されたら食事は何に気をつければいい?」
「病状別の食事のポイントは?」
脂質異常症(高脂血症)を放置したままにすると動脈硬化が進行して、脳卒中や心筋梗塞のリスクを高めてしまいます。悪玉コレステロール値や中性脂肪値が高いと指摘されたら、まず食事内容を改善することが大切です。
本記事では脂質異常症の食事療法の概要をはじめとして以下を解説します。
食事療法の7つのポイント
病状別の食事療法のポイント
改善に役立つレシピ4選
食事以外で注意すべき3つのこと
脂質異常症の食事療法の理解を深めるために参考にしてください。
脂質異常症(高脂血症)における食事療法
脂質異常症の食事療法とは、食生活の乱れを改善して、血中の悪玉コレステロール値や中性脂肪値を下げる治療です。脂質異常症と診断されたら、一般的にまず食事療法を含む生活習慣の改善を行います。
脂質異常症の診断基準は以下の通りです。
脂質異常症を放置すると高血圧や動脈硬化が進行します。その結果、脳卒中や心筋梗塞の発症リスクが高くなるため早期に治療を始めることが大切です。
脂質異常症自体に自覚症状があるわけではありません。健康診断などで悪玉コレステロール値や中性脂肪値が高いと指摘された方は、医療機関を受診して適切な治療を始めましょう。
脂質異常症における食事療法の7つのポイント

脂質異常症における食事療法の7つのポイントは以下の通りです。
1. 摂取エネルギー制限して適正体重を目指す
2. コレステロールの摂取量は1日200mg以下にする
3. 脂質の量や質に注意する
4. 糖質の摂り過ぎに注意する
5. 食物繊維を多く摂る
6. アルコールは1日20g以下にする
7. 食塩は1日6g未満にする
それぞれの詳細を解説します。
1.摂取エネルギー制限して適正体重を目指す
摂取エネルギーを制限して適正な体重を目指すのは、脂質異常症の食事療法の基本です。エネルギーを摂り過ぎると、悪玉コレステロール値や中性脂肪値が高くなってしまうためです。
以下の計算式を参考にして、自分の目標体重と適正な総エネルギー摂取量を算出してみましょう。
• 目標体重(kg)= 「身長(m)× 身長(m)× BMI値」
• 総エネルギー摂取量(kcal/日)=「目標体重(kg)× 身体活動量係数」
年齢 | BMI範囲 |
18~49歳 | 18.5~24.9 |
50~64歳 | 20.0~24.9 |
65歳以上 | 21.5~24.9 |
活動レベル | 身体活動量係数 |
軽い労作(大部分が座位作業) | 25~30 |
普通の労作(座位作業中心だが軽い運動も含む) | 30~35 |
重い労作(力仕事や激しいスポーツなど) | 35~ |
例えば「50代男性、身長170cm、体重75kg、デスクワーク」という条件で望ましい総エネルギー量を計算してみると以下の通りです。
● 目標体重:1.7×1.7×20.0〜24.9=58〜72kg
● 総エネルギー摂取量:65×25〜30=1625〜1950kcal
以上の計算を参考にすると、1日約1800kcal(1食600kcal)が目安になります。
2.コレステロールの摂取量は1日200mg以下にする
コレステロールの摂取量は1日200mg以下にしましょう。コレステロールの摂取量を制限すれば、悪玉コレステロール値を下げることができます。
コレステロールは肉や魚の内臓、卵、魚卵などに多く含まれています。食品に含まれているコレステロール量は、以下の表を参考にしてください。
食品名(50g) | コレステロール |
卵M1個 | 210mg |
鶏レバー | 185mg |
豚レバー | 125mg |
牛レバー | 120mg |
砂ぎも | 100mg |
鶏手羽、鶏皮(もも) | 60mg |
牛タン | 50mg |
鶏もも(皮付き)、ドライサラミ | 49mg |
プロセスチーズ | 39mg |
牛もも | 35mg |
とりささみ | 34mg |
牛ヒレ、牛ロース、豚モモ、豚ヒレ | 33mg |
ウインナー | 29mg |
ボンレスハム、ベーコン | 25mg |
3.脂質の量や質に注意する
脂質異常症を改善するにあたって脂質制限はもちろんですが、質にも注意が必要です。意識的に制限したいのは脂質に含まれる以下のような脂肪酸です。
一方、エイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)などの不飽和脂肪酸は、中性脂肪値を下げる働きがあります。不飽和脂肪酸が含まれる青魚やオリーブオイルを積極的に取り入れましょう。
4.糖質の摂り過ぎに注意する
糖質の過剰摂取は中性脂肪値を上昇させます。以下を参考にして糖質を摂り過ぎないようにしてください。
ご飯や麺類などの主食の組み合わせは控える
果物は1日80kcal程度(バナナなら中1本、リンゴなら中半分)にする
菓子類や清涼飲料水を摂り過ぎない
いも類は1日ジャガイモ1個程度にする
糖尿病がある方は、糖質制限に関して医師に相談しましょう。
5.食物繊維を多く摂る
野菜や海藻、大豆に含まれる食物繊維には、コレステロールの吸収を妨げる効果があります。また緑黄色野菜に含まれるビタミンCやβカロテンは、悪玉コレステロールが酸化(動脈硬化の進行に関与する)するのを予防します。
推奨されている野菜の摂取量は1日に350g(両手山盛り)です。摂取する半分ほどは緑黄色野菜にすると良いでしょう。なお、漬物は塩分が多く含まれているため摂り過ぎには注意が必要です。
6.アルコールは1日20g以下にする
アルコールの過剰摂取は中性脂肪を増加させます。厚生労働省は、節度ある1日の純アルコール量を20gまでとしています。以下を参考にして節度のある飲酒をしましょう。なお、女性は男性よりもアルコールの影響を受けやすいため、男性の半量が適量とされています。
お酒の種類 | ビール | 清酒 | ウイスキー・ ブランデー | 焼酎 | ワイン |
飲量 | 中瓶1本(500ml) | 1合(180ml) | ダブル(60ml) | 1合(180ml) | 1杯(120ml) |
アルコール度数 | 5% | 15% | 43% | 35% | 12% |
純アルコール量 | 20g | 22g | 20g | 50g | 12g |
7.食塩は1日6g未満にする
食塩は1日6g未満としてください。食塩の過剰摂取は、血圧を上昇させて動脈硬化の進行リスクを高めるためです。脂質異常症の方は高血圧の合併リスクが高いため注意が必要です。
食塩の過剰摂取を抑えるポイントは以下の通りです。
漬物は自家製の浅漬けにして少量にする
麺類の汁は残す
薄味に調理する
調味料は香辛料や香草野菜、酸味などを利用する
外食や加工食品を控える
【病状別】脂質異常症の食事療法のポイント

ここからは、病状別で脂質異常症の食事療法のポイントを解説します。
1.高LDLコレステロール血症の場合
高LDLコレステロール血症の主な原因は、コレステロールや飽和脂肪酸の摂り過ぎです。脂身の多い肉や内臓、鶏皮、乳製品、卵黄、菓子類、加工食品を控えてください。悪玉コレステロール値を下げるために、食物繊維を豊富に含む野菜や大豆製品、海藻を意識的に摂るとよいでしょう。
2.高トリグリセライド血症の場合
高トリグリセライド血症の主な原因は、お酒や糖質の摂り過ぎ、運動不足、肥満などです。以下を摂り過ぎないようにしてください。
お酒
ご飯や麺類、パン
菓子
清涼飲料水
中性脂肪値の改善に役立つのは不飽和脂肪酸です。青魚を意識的に摂るようにしましょう。
3.低HDLコレステロール血症の場合
低HDLコレステロール血症の主な原因は、トランス脂肪酸の摂り過ぎや運動不足、肥満、喫煙などです。善玉コレステロールを高めるために、トランス脂肪酸が含まれる以下の食品を控えましょう。
マーガリン(特に固形)
ファットスプレット
ショートニング
パン
ケーキ
スナック菓子
クッキー
揚げ物
善玉コレステロールは、血管壁に溜まった余分な悪玉コレステロールを肝臓に回収する働きがあり、動脈硬化の予防に役立ちます。
脂質異常症を改善に役立つレシピ4選
ここでは、以下の脂質異常症の改善に役立つレシピ4選を解説します。
鮭のホイル焼き
れんこんハンバーグ
なすの忘れ煮
きのこのマリネ
それぞれの詳細を解説します。
1.鮭のホイル焼き

※画像はイメージです。
「鮭のホイル焼き」は、食物繊維が含まれるきのこや野菜をたっぷり摂れるレシピです。鮭には不飽和脂肪酸も豊富に含まれています。
材料(1人前) | 【食材】 鮭60g、しめじ30g、えのき30g、たまねぎ40g 【調味料】 マヨネーズ小さじ1、しょうゆ小さじ2分の1、こしょう少々 |
栄養価(1人前) | エネルギー148kcal、たんぱく質15.3g、脂質7.2g、炭水化物7.6g、塩分0.6g |
しめじの石づきを切り一口大に割いておく
えのきの石づきを切り3cmほどに切る
玉ねぎを5mmほどの薄切りにする
アルミホイルに玉ねぎを敷き、その上に鮭の切り身をのせる
鮭にマヨネーズを塗りしめじとえのきをのせる
5にしょうゆかけて、軽くコショウをふる
鮭を包むようにアルミホイルの上下を折り左右も2〜3回折る
250度に熱したオーブンで20分ほど焼く
2.れんこんハンバーグ

※画像はイメージです。
食物繊維やビタミンCが豊富に含まれるレンコンや大根をたっぷり摂れる「レンコンハンバーク」です。
材料(2人前) | 【れんこんハンバーグの食材】 すりおろしたれんこん120g、鶏ひき肉120g、豚ひき肉120g 【調味料1】 おろし生姜小さじ2、こしょう少々、塩少々 【調味料2】 みりん大さじ2、塩少々 【調味料3】 砂糖小さじ1/2、酢小さじ1、しょうゆ小さじ1、ごま油小さじ2 【その他】 人参100g、小松菜100g、大根おろし100g、だし汁200cc、ごま油小さじ2、ポン酢大さじ3 |
栄養価(2人前) | エネルギー443kcal、たんぱく質28.0g、脂質22.3g、塩分2.9g |
れんこんハンバーグの食材と調味料1を混ぜてたねを作り、2等分にして小判型にする
シャトー切りにした人参をだし汁で煮たあと、調味料2を加えて煮詰める
小松菜はさっと茹で冷水に入れたあと絞る。1口大の大きさに切り調味料3で和える
フライパンでごま油を熱して、たねを両面に焼き色がつくまで強火で焼く。その後、水を少量入れフタをして弱火で蒸し焼きにし中まで火を通す
2、3、4をお皿に盛り付ける。ハンバーグの上に絞った大根おろしをのせてポン酢をかける
3.なすの忘れ煮

※画像はイメージです。
ほったらかして忘れるほど煮る「なすの忘れ煮」です。なすの皮に含まれるポリフェノールには、悪玉コレステロール値を下げる働きがあると言われています。
材料(1人前) | 【食材】 なす2~3個 【調味料】 昆布5×5cm1枚、干しえび大さじ1、水600cc、酒小さじ2、みりん大さじ1、しょうゆ小さじ1、みょうが2分の1 |
栄養価(1人前) | エネルギー94kcal、蛋白質3.5g、脂質0.3g、塩分1.5g |
濡れた布巾で昆布の汚れをふき、干しエビも水で洗う
鍋に昆布と干しエビ、水を入れて浸しておく
なすは水洗いしてガクの先端を切り落とし、両面に5mm幅で切り込みを入れる
2を煮立て、酒、みりん、しょうゆを入れる。
鍋になすを上下交互に詰めるように入れて落としフタをし強火にかける
煮立ったら弱火にしフタをして約30分煮る
煮たあとは鍋ごと流水につけて粗熱をとりそのまま冷蔵庫で冷やす
なすが冷えたら食べやすい大きさに切り、お皿に盛り付けてみょうがを添える
4.きのこのマリネ

※画像はイメージです。
低カロリーかつ食物繊維をたっぷり摂れる「きのこのマリネ」です。作り置きができるレシピであるため、たくさん作って常備菜にすると便利です。
材料(4人前) | 【食材】 お好みのきのこ250g 【調味料】 ごま油小さじ、しょうゆ大さじ1強、みりん大さじ1強、酢大さじ1強、鶏ガラスープの素小さじ1 |
栄養価(4人前) | エネルギー37kcal、たんぱく質2.0g、脂質1.3g、炭水化物6.0g、食物繊維2.2g、塩分 1.0g |
お好みのきのこを2〜4種類用意する
各きのこの石づきを切り食べやすい大きさに切る
しょうゆ、みりん、酢、鶏ガラスープをすべて合わせて混ぜておく
フライパンにごま油をひき、きのこを強火で炒める
きのこに焼き色が付きしんなりしたら3を加えて、さっと炒め合わせる
脂質異常症において食事以外で注意すべき3つのこと

脂質異常症において、食事以外で注意すべき3つのことは以下の通りです。
禁煙をする
運動習慣を身に付ける
ストレスをためないようにする
それぞれの詳細を解説します。
1.禁煙をする
脂質異常症を改善するには禁煙が必要です。喫煙は悪玉コレステロールを酸化させて、動脈硬化を進行させるためです。また、血圧を高める作用があるため、高血圧予防においても禁煙は重要。受動喫煙も避けるようにしましょう。
2.運動習慣を身に付ける
適度な運動は脂質異常症の改善に有効です。運動は中性脂肪値を低下させて、善玉コレステロール値を上昇させる効果があるためです。以下のような有酸素運動を取り入れましょう。
ウォーキング
軽いジョギング
サイクリング
1日30分を週に3回以上行うことが効果的とされています。糖尿病などの持病がある方は、医師に相談して無理のない範囲で行いましょう。
3.ストレスをためないようにする
過度なストレスは、悪玉コレステロール値を高めます。血圧や血糖値も上昇させてしまい動脈硬化を進行させてしまう恐れがあります。心身ともに、ゆとりのある生活を送るようにしましょう。
食生活を見直して脂質異常症を改善しよう

脂質異常症を改善するには食生活を見直すことが大切です。エネルギーやコレステロール、脂質、糖質、お酒を制限して悪玉コレステロール値や中性脂肪値を上げないようにしてください。また、食物繊維や不飽和脂肪酸を意識的に摂取して改善に役立てましょう。
一般的に脂質異常症には自覚症状がないです。「症状がないから」と放置すると、いつの間にか脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高い状態になってしまいます。当院では「生活習慣病をコントロールすることが患者さんの未来を明るくする」という理念をもとに、脂質異常症を含む生活習慣病の治療を積極的に行っています。健康診断などで、悪玉コレステロール値や中性脂肪値が高いと指摘された方は、お気軽にご相談ください。
参考文献