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自宅での正しい血圧測定について徹底解説

  • 執筆者の写真: HEIWA SOTOMURA
    HEIWA SOTOMURA
  • 2025年12月25日
  • 読了時間: 24分

「サイレントキラー」と呼ばれる高血圧は、自覚症状がほとんどないまま進行し、心臓や脳、腎臓といった大切な臓器に深刻なダメージを与えかねない病気です。 病院での測定値だけでは見つけにくい「白衣高血圧」や、逆に病院では正常なのに自宅で高い「仮面高血圧」といった“隠れた高血圧”の存在をご存知でしょうか?

実は、ご自宅で毎日血圧を測ることが、ご自身の真の健康状態を把握し、重大な病気を未然に防ぐ上で非常に重要です。 この記事では、見落とされがちな高血圧のリスクから、自宅での正しい血圧測定方法、そして測定値を活かした効果的な予防・治療戦略までを徹底解説。 あなたの健康を守るための第一歩を、ここから踏み出しませんか。



自宅での血圧測定が重要な3つの理由

高血圧は「サイレントキラー」と称される病気です。 自覚症状がほとんどないまま、静かに進行してしまうことが特徴です。 そして、心臓や脳、腎臓といった大切な臓器に、深刻なダメージを与えかねません。 私たちは日々の診療で、この高血圧と向き合っていますが、患者さんご自身による健康管理が非常に大切だと感じています。 病院での血圧測定は、もちろん大切です。 しかし、ご自宅で毎日血圧を測ることは、ご自身の健康を守るために、非常に重要な習慣なのです。 病気の早期発見や予防、そして適切な治療へとつなげるために、ぜひ今日から血圧測定を始めてみませんか。



病院では見つけにくい「隠れた高血圧」とは

病院で血圧を測ると、いつもより数値が高く出た経験はありませんか。 これは「白衣高血圧(はくいこうけつあつ)」と呼ばれる現象です。 病院という普段とは違う環境や緊張感が、一時的に血圧を上げてしまうのです。 ご自宅で測ると血圧が正常値に戻るため、病院での測定だけでは、この「隠れた高血圧」を見過ごしてしまう可能性があります。


逆に、病院では血圧が正常なのに、ご自宅で測ると高い数値を示す「仮面高血圧(かめんこうけつあつ)」も存在します。 この「仮面高血圧」は、特に注意が必要です。 なぜなら、知らないうちに動脈硬化(どうみゃくこうか:血管が硬くなること)が進み、心臓や血管に負担がかかっている状態だからです。 心臓血管研究所付属病院も指摘しているように、家庭での血圧測定は、病院での測定よりも継続的かつリラックスした環境で行えるため、より正確な血圧変動を把握できます。 特に次のような方は、「仮面高血圧」の可能性があるので、ご自宅での血圧測定を強くおすすめします。


  • 早朝高血圧(そうちょうこうけつあつ)

    起床時、特に朝食前に血圧が高い状態を指します。

    脳卒中(のうそっちゅう)や心筋梗塞(しんきんこうそく)のリスクが高まると言われています。


  • 夜間高血圧(やかんこうけつあつ)

    寝ている間に血圧が十分に下がらない状態です。

    心臓への負担が大きく、様々な合併症につながる可能性があります。


  • 職場高血圧(しょくばこうけつあつ)

    仕事中にストレスが多い環境で血圧が上昇する状態です。

    ストレスが持続することで、血管にダメージを与えかねません。


  • 過度の飲酒や喫煙習慣がある方

    これらは高血圧を悪化させる要因となります。

    自宅での測定を通じて、生活習慣と血圧の関係に気づきやすくなります。


これらの「隠れた高血圧」は、病院での短時間の測定だけでは見極めることが困難です。 ご自宅で毎日、リラックスした状態で血圧を測り続けることで、ご自身の真の血圧状態を把握できるようになります。 これにより、早期の対策を始める大切なきっかけとなるでしょう。


医師の正確な診断と治療効果の評価に必須

ご自宅で測った血圧の記録は、私たち医師が正確な診断を行い、お一人おひとりに最適な治療計画を立てる上で、必要不可欠な情報です。 病院での血圧測定は、その時点での血圧を反映するに過ぎません。 しかし、日々の生活の中での血圧の変動や平均値を把握するには、ご自宅での継続的な測定データが圧倒的に重要となります。


  • 診断の精度向上

    病院での一時的な数値だけでなく、朝と晩など決まった時間にご自宅で測った血圧のデータは、医師が「白衣高血圧」や「仮面高血圧」を見極めるのに役立ちます。

    これにより、より正確な高血圧の診断につながります。

    不必要な降圧剤(こうあつざい:血圧を下げる薬)の服用を避けたり、必要な治療を遅らせることなく開始したりすることが可能になります。


  • 治療効果の評価

    すでに高血圧の治療を受けている方にとって、ご自宅での血圧測定は、服用しているお薬の効果が適切に出ているかを確認するための重要な指標です。

    また、生活習慣の改善が高血圧に良い影響を与えているかを判断するためにも使われます。

    薬の種類や量を調整する際にも、ご自宅での安定したデータが私たちの判断材料となります。


ご自身の血圧データを毎日記録し、定期的に医師に伝えることで、より質の高い医療を安心して受けることができるのです。


自身の健康状態を把握し病気予防に役立てる

ご自宅での血圧測定は、単に数値を記録するだけではありません。 ご自身の健康状態を主体的に管理し、将来の病気を予防するための、とても大切な習慣です。 日々の測定を通じて、次のようなメリットが得られます。


  • 体調変化の早期発見

    「いつもより血圧が高いな」「ちょっと低いな」といった日々の変動に気づくことは、ご自身の生活習慣が血圧に与える影響を把握する第一歩です。

    例えば、睡眠不足が続いたり、ストレスが多い日が続いたりすると、血圧は高くなる傾向があります。

    食事内容(塩分の摂りすぎなど)や運動不足も、血圧に影響を与えます。

    普段と違う大きな変化があれば、すぐに医師に相談するなど、病気のサインを早期にキャッチするきっかけにもなります。


  • 生活習慣改善へのモチベーション

    測定結果が高かった日は、「今日は塩分を控えよう」「少し運動してみよう」と、健康的な生活習慣を意識するモチベーションにつながります。

    ご自身の努力が数値として現れることで、積極的に健康管理に取り組むことができます。

    これを「見える化」することで、達成感を味わい、継続しやすくなるでしょう。


  • 合併症(がっぺいしょう)のリスク低減

    高血圧を放置すると、脳卒中(脳の血管が詰まったり破れたりする病気)や心筋梗塞(しんきんこうそく:心臓の筋肉に血液が届かなくなる病気)、腎臓病(じんぞうびょう)といった重篤な病気を引き起こすリスクが高まります。

    これらは、一度発症すると元の状態に戻ることが難しい、命に関わる病気です。

    ご自宅で血圧を適切に管理することで、これらの合併症の発症リスクを減らし、健康寿命を延ばすことにつながります。


  • 多角的な健康管理

    血圧測定を習慣にすることで、血圧以外の生活習慣病(糖尿病、脂質異常症など)にも意識が向きやすくなります。

    これにより、総合的な健康管理のきっかけとなることも期待できます。

    患者さん自身の能動的な健康管理が、病気の予防と早期発見に大きく貢献するのです。


心臓血管研究所付属病院も、日々の血圧測定が体調変化や病気のサインに気付くきっかけとなり、自身の健康管理に極めて重要であることを強調しています。 ご自身に合った使いやすい血圧計を選び、毎日決まった時間に測り続けることが、健康的な未来への大切な一歩となるでしょう。



正しい血圧測定の基本と最適な血圧計の選び方

ご自宅での血圧測定は、ご自身の健康を守るための大切な習慣です。しかし、「本当に正しい測り方をしているのかな」「どんな血圧計を選べば良いのだろう」と、疑問や不安を感じる方もいらっしゃるかもしれませんね。私たち循環器内科の医師も、患者さんからよくこのようなご質問をいただきます。


正確な血圧測定は、高血圧の早期発見や日々の体調管理、そして適切な治療へと繋がる重要な情報源です。ここでは、ご自宅で信頼できる血圧値を測るための準備と正しい姿勢、そしてあなたに最適な血圧計の選び方について、詳しくお伝えします。正しい知識を身につけ、安心して日々の健康管理に取り組んでいきましょう。


正確な測定のための3つの準備と正しい姿勢

ご自宅で正確な血圧値を測るためには、測定前の準備と正しい姿勢が非常に重要です。この点を意識するだけで、測定値の信頼性が格段に向上します。


測定前の3つの準備(リラックスがカギ)

血圧は、わずかな環境の変化や体調によっても変動しやすいデリケートな数値です。測定前に次の3つの準備を心がけましょう。


  • 5分間の安静

    血圧を測る直前まで体を動かしたり、興奮したりしていると、血圧は一時的に上昇します。

    測定の5分前には椅子に座り、心を落ち着かせて安静に過ごしましょう。

    運動後、入浴後、喫煙後、飲酒後、カフェイン摂取後(コーヒーやお茶など)は、血圧が変動しやすいので避けてください。

    これらを避けることで、本来の血圧に近い値を測定できます。


  • 排尿を済ませる

    膀胱に尿がたまっている状態でも、血圧が上昇することがあります。

    測定前に必ずトイレを済ませておきましょう。

    これも、余分な要因で血圧が上がってしまうことを防ぐためです。


  • ゆったりとした服装に

    厚手の服の上から血圧計のカフ(腕帯:血圧計を腕に巻く部分)を巻くと、腕が適切に圧迫されず、正確な値が測れません。

    薄手のシャツやTシャツの上から測るか、腕まくりをして直接腕にカフを巻きましょう。

    腕まくりをする際は、腕を締め付けないよう、ゆとりのある状態にしてください。



正しい測定姿勢

測定姿勢も、正確な血圧値を得るために欠かせないポイントです。以下の点に注意して測定しましょう。


  • 椅子に深く腰かける

    背もたれのある椅子に深く腰掛け、背筋を伸ばしてリラックスしてください。

    背中が丸まっていたり、前かがみになっていたりすると、体に余計な力が入ってしまうことがあります。


  • 両足を床につける

    両足は床にしっかりとつけ、足を組まないようにしましょう。

    足を組むと、血圧が一時的に上昇する可能性があります。

    床に足が届かない場合は、台などを利用して安定させることが大切です。


  • 腕の高さは心臓と同じに

    血圧計のカフを巻いた腕は、テーブルなどに置き、心臓と同じ高さに保ちましょう。

    心臓よりも低い位置にあると血圧が高めに、高い位置にあると低めに測定されることがあります。

    この「腕の高さ」は、測定誤差を生みやすい重要な要素です。


  • 測定中は静かに

    測定中は、おしゃべりや体を動かすことは避けてください。

    会話や動作によって、血圧は変動してしまいます。

    静かに、測定が終わるのを待ちましょう。


これらの準備と姿勢を整えることで、ご自宅でも病院で測るのと同じくらい信頼できる血圧データを取得できます。もしこれらの条件が守れていないと、私たち医師も正確な診断を下しにくくなることがありますので、ぜひ意識して実践してみてください。


毎日続けるための測定時間と回数のルール

血圧は、一日のうちでも時間帯や活動によって大きく変動するものです。そのため、毎日決まった時間に測り続けることが、ご自身の血圧の状態を正確に把握する上で非常に重要となります。


測定時間:朝と夜の2回が基本

日本高血圧学会のガイドラインでも、ご自宅での血圧測定は「朝と夜の2回」が推奨されています。


  • 朝の測定

    起床後1時間以内に行いましょう。

    排尿を済ませた後、朝食や降圧剤(血圧を下げる薬)を飲む前に測定するのが理想的です。

    朝の血圧は、日中の活動を始める前の、より安定した状態の血圧を反映します。

    特に「早朝高血圧(そうちょうこうけつあつ)」という、朝方に血圧が異常に高くなる状態を発見する上で非常に重要です。

    早朝高血圧は、脳卒中や心筋梗塞のリスクを高めることが指摘されています。


  • 夜の測定

    就寝前に測定しましょう。

    一日の活動やストレス、食事などが血圧に与える影響を確認することができます。

    「夜間高血圧(やかんこうけつあつ)」という、寝ている間に血圧が十分に下がらない状態も、心臓への負担が大きく、合併症につながる可能性があるため、夜の測定で確認することが大切です。


測定回数:各時間帯で1〜2回

  • 各時間帯で2回測定し、その平均値を記録する

    初めての測定では、緊張などから一時的に血圧が高く出ることがあります。

    そのため、各時間帯で1回だけでなく、2回測定し、その平均値を記録するようにしましょう。

    もし3回以上測定する場合でも、最初の1回は捨てて、2回目以降の平均値を用いるのが一般的です。

    これにより、より安定した、ご自身の真の血圧の状態を把握しやすくなります。


毎日続けることの重要性

ご自宅での血圧測定は、日々の測定結果を「点」ではなく「線」で捉えることで、その真価を発揮します。


  • 医師の正確な診断と治療効果の評価に役立つ

    血圧は日によって変動があるため、毎日測定し記録を続けることが何よりも大切です。

    継続的なデータは、私たち医師が「白衣高血圧」や「仮面高血圧」を見極める上で非常に貴重な情報となります。

    服用しているお薬の効果が適切に出ているか、生活習慣の改善が高血圧に良い影響を与えているかなどを判断する上でも、日々の記録は不可欠です。


  • ご自身の体調変化の早期発見とモチベーション維持

    「いつもより血圧が高いな」「ちょっと低いな」といった日々の変動に気づくことは、ご自身の生活習慣が血圧に与える影響を把握する第一歩です。

    例えば、睡眠不足やストレスが続くと血圧は高くなる傾向があります。

    測定結果が高かった日は、「今日は塩分を控えよう」「少し運動してみよう」と、健康的な生活習慣を意識するモチベーションにもつながります。

    ご自身の努力が数値として現れることで、積極的に健康管理に取り組むことができるでしょう。


あなたに合った血圧計を選ぶ5つのポイント

ご自宅で使う家庭用血圧計は、様々な種類がありますが、ご自身の使い方や測定の正確性を考慮して選ぶことが大切です。主な血圧計の種類としては、「上腕式」「手首式」、そして自動で腕を挿入する「アームイン式」があります。


  1. 測定部位で選ぶ

    • 上腕式(推奨)

      • 最も一般的で、カフ(腕帯)を上腕部に巻いて測定します。

      • 病院での測定と最も近い値が得られやすく、正確性が高いとされています。

      • 日本高血圧学会のガイドラインでも、家庭血圧測定には上腕式血圧計の使用が推奨されています。

      • 安定した測定がしやすく、多くの方におすすめできるタイプです。


    • アームイン式

      • 腕を差し込むだけで自動でカフが巻かれるタイプです。

      • 非常に簡単で、ご高齢の方や測定に不慣れな方、カフを巻くのが難しい方におすすめです。

      • 測定姿勢が安定しやすいメリットもあります。


    • 手首式

      • コンパクトで持ち運びやすいのが特徴です。

      • しかし、手首の位置が心臓より高い・低いと誤差が出やすいため、正しい姿勢での測定にコツが必要です。

      • 常に心臓と同じ高さに手首を保つよう意識する必要があるため、慣れないうちは注意が必要です。

      • より正確な測定を求める場合は、上腕式やアームイン式をおすすめします。


  2. カフ(腕帯)のサイズを確認する

    腕の太さに合ったカフを選ぶことが、正確な測定には不可欠です。

    カフが小さすぎると血圧が高めに、大きすぎると低めに測定される誤差が生じることがあります。

    ほとんどの製品は標準サイズが付属していますが、腕が細い方や太い方は、事前に腕周りを測り、対応するカフサイズがあるか確認しましょう。

    最近では、腕の太さに合わせて調整できる「フィットカフ」と呼ばれるタイプもあります。


  3. 機能で選ぶ

    • メモリー機能

      測定値を自動で記録してくれる機能で、多くの製品に搭載されています。

      手書きで記録する手間を省き、継続しやすくなります。

    • スマートフォン連携機能

      測定値をスマートフォンアプリに転送し、グラフで推移を確認したり、ご自身のデータとして記録したりできるタイプもあります。

      最近の研究では、ご自宅での血圧測定データを活用した「テレメディシン(遠隔医療)」による高血圧管理が、通常の医療機関でのケアよりも効果的であることが示されています。特に、医師以外の医療従事者(例:看護師)や薬剤師が薬物療法や自己管理の支援を行う場合に、より血圧の改善が見られたとの報告もあります。

      このような連携機能は、日々の管理と医療機関との情報共有に非常に有用です。私たち医師も、データに基づいたよりきめ細やかなアドバイスが可能になります。

    • 不規則脈波(心房細動などの不整脈)検知機能

      血圧測定中に不規則な脈を検知すると教えてくれる機能です。

      特定の不整脈(心房細動など)は、脳卒中などのリスクを高めることが知られており、その早期発見に役立つことがあります。

      検知された場合は、一度私たち医師にご相談いただくきっかけにもなります。


  4. 操作のしやすさ

    血圧測定は毎日続けることが大切ですので、操作が簡単でわかりやすいモデルを選びましょう。

    ボタンが少ない、表示画面が大きい、音声ガイド機能があるなど、ご自身がストレスなく操作できる製品がおすすめです。

    特にご高齢の方や細かい作業が苦手な方は、シンプルな操作性の製品を選ぶと継続しやすくなります。


  5. メーカーで選ぶ

    オムロンやパナソニック、テルモなどが主要メーカーとして知られています。

    これらのメーカーは長年の実績があり、品質やサポート体制も充実しているため、安心して長く使い続けることができます。

    価格帯は数千円から1万円台が主流ですが、ご自身の予算と必要な機能を考慮して選びましょう。


ご自身のライフスタイルや体調、重視するポイントに合わせて、最適な血圧計を見つけることが、高血圧管理の第一歩となります。迷った際は、私たち医師や薬剤師にご相談いただくことも可能です。



家庭用血圧計の種類

上腕式カフ型
上腕式カフ型
上腕式アームイン型
上腕式アームイン型
手首式
手首式

種類

特徴

メリット

デメリット

上腕式カフ型

上腕にカフを巻き付けて測定する最も一般的なタイプ。医療機関でも使用される方式。

- 精度が高く、ガイドラインでも推奨- コンパクトで比較的安価- 多くのメーカーが扱っている

- カフを正しく巻く必要がある- 高齢者や片手が不自由な方には装着がやや難しい

上腕式アームイン型

腕を本体に差し込むタイプ。カフ巻き不要で操作が簡単。

- 巻き付け不要で使いやすい- 姿勢が安定しやすく測定誤差が少ない- 高齢者にも扱いやすい

- 本体が大きく、置き場所を取る- 価格がやや高め- 持ち運びには不向き

手首式

手首に装着して測定するタイプ。コンパクトで携帯性に優れる。

- 小型で旅行や外出先にも便利- 測定が手軽で短時間

- 動きや姿勢の影響を受けやすく誤差が出やすい- 手首の位置を心臓の高さに合わせる必要がある- 医療機関での推奨度は低い



測定値を活かす!高血圧管理と合併症予防のステップ

ご自宅で測る血圧の数値は、単なる数字の羅列ではありません。それは、ご自身の体からの大切なメッセージであり、将来の健康を守るための羅針盤とも言えるでしょう。私たち循環器内科の医師も、患者さんの日々の記録から多くの情報を得て、診断や治療に役立てています。


高血圧の管理は、毎日測る血圧の記録を医師と共有し、適切な治療と生活習慣の改善を続けることが不可欠です。このセクションでは、ご自身の血圧データを最大限に活用し、高血圧を効果的に管理しながら、心臓病や脳卒中などの重大な合併症を予防するための具体的なステップをご紹介します。ご自身の健康を主体的に守るために、ぜひ参考にしてください。



家庭血圧の基準値と変動する測定値への対処法

ご自宅で測る家庭血圧は、診察室で測る血圧とは異なる基準値が設けられています。私たち医師も、この違いを考慮して診断を行っています。日本高血圧学会のガイドラインでは、家庭血圧の正常範囲を、収縮期血圧(上の血圧)が135mmHg未満、拡張期血圧(下の血圧)が85mmHg未満としています。この数値を超えると高血圧と判断されます。


自宅血圧測定で大切なのは、ご自身の「いつもの血圧」を把握することです。血圧測定値は、さまざまな要因で変動することがあります。その主な原因には、以下のようなものが挙げられます。


  • 時間帯

    朝と夜では、血圧が変動しやすい傾向にあります。

    一日の活動量やホルモン分泌の影響を受けるためです。


  • 精神状態

    ストレスや緊張を感じると、一時的に血圧が上がることがあります。

    「白衣高血圧」も、これと同じメカニズムです。


  • 身体活動

    測定前の運動や入浴、喫煙、飲酒、カフェイン摂取などは、血圧を一時的に上昇させることがあります。

    これらを避けることで、より正確な値が得られます。


これらの変動に対処し、より正確な情報を得るためには、以下の点に注意して測定しましょう。


  • 測定条件を一定に保つ

    毎日同じ時間帯、例えば起床後と就寝前。

    同じ姿勢で測定することが大切です。

    測定環境を整えることで、測定値の信頼性が高まります。


  • 複数回測定し平均値を見る

    1回の測定値だけではなく、数回測定した平均値を見るようにしましょう。

    また、数日間の平均値を確認することも、血圧の傾向を把握する上で非常に重要です。

    例えば、透析を受ける患者さんにおいても、単独の血圧測定ではなく、自宅での継続的なモニタリングがより正確な高血圧診断に繋がることが研究で示されています。

    このことは、一般の患者さんにとっても、日々の継続的な測定がいかに重要であるかを教えてくれます。


  • 「白衣高血圧」と「仮面高血圧」の理解

    医療機関で測定すると血圧が高いものの、ご自宅で測定すると正常な状態を「白衣高血圧」と呼びます。

    一方、医療機関で測定すると血圧が正常なのに、ご自宅で測定すると高い状態を「仮面高血圧」と呼びます。

    特に仮面高血圧は発見されにくく、知らないうちに動脈硬化が進んでしまうため、注意が必要です。

    自宅での測定を継続することで、これらの「隠れた高血圧」を発見し、適切な対応に繋げることができます。


薬だけに頼らない生活習慣改善

高血圧の治療は、薬物療法だけでなく、生活習慣の改善が非常に重要です。薬だけに頼らず、ご自身の努力で血圧をコントロールすることで、将来的な薬の量を減らせる可能性もあります。私たち医師も、患者さんの生活習慣の改善を強く推奨しています。生活習慣改善の主なポイントは以下の通りです。


  • バランスの取れた食事

    塩分の摂取量を控えることは、最も重要なことの一つです。

    日本人の目標は1日6g未満ですが、ご自身の適正量を医師と相談しましょう。

    野菜や果物を積極的に摂り、飽和脂肪酸(肉の脂身などに多い)の摂取を減らすことも大切です。

    体内の水分バランス、いわゆる「体液量の均等性」を保つ食生活は、血圧コントロールに非常に重要だと考えられています。


  • 適度な運動

    ウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動を毎日30分以上。

    または、週に合計180分以上行うことが推奨されます。

    無理のない範囲で、継続できる運動を見つけましょう。


  • 禁煙・節酒

    喫煙は血管を収縮させ、血圧を上昇させます。

    飲酒量が多いと血圧が上昇するため、節度ある飲酒を心がけましょう。


  • ストレス管理

    十分な睡眠をとり、リラックスする時間を設けるなど、ストレスを溜め込まない工夫が大切です。

    ストレスは、知らず知らずのうちに血圧を上げてしまうことがあります。


高血圧が引き起こす3つの主要な合併症リスク

高血圧が長期間続くと、血管に持続的な負担がかかり、さまざまな重大な病気を引き起こすリスクが高まります。これらの合併症は、一度発症すると元の状態に戻ることが難しい場合が多く、生活の質(QOL)を著しく低下させ、命を脅かす可能性もあります。特に注意すべき3つの主要な合併症について解説します。


  1. 脳卒中(脳梗塞・脳出血)

    高血圧は、脳の血管にダメージを与え、動脈硬化(どうみゃくこうか:血管が硬くなり、狭くなること)を進行させます。

    これにより、血管が詰まって脳の一部が壊死する「脳梗塞(のうこうそく)」や、血管が破れて脳内で出血する「脳出血(のうしゅっけつ)」のリスクが高まります。

    脳卒中は、言葉が出にくくなる「言語障害」や、手足が動きにくくなる「麻痺(まひ)」、意識を失う「意識障害」などの後遺症を残すことが多く、命に関わることもあります。


    また、高血圧によって心臓に負担がかかり、不整脈の一つである「心房細動(しんぼうさいどう)」が引き起こされることもあります。

    心房細動は心臓の中に血の塊(血栓)ができやすく、その血栓が脳に飛んで脳梗塞を引き起こす大きな原因となります。


    高血圧と心房細動の合併は、脳卒中のリスクをさらに高めるため、注意が必要です。

    ご自宅で血圧を測る際に、脈の乱れを知らせる機能がある血圧計を使うと、心房細動の可能性を早期に発見できることがあります。

    最新の研究でも、家庭での自動血圧測定中に心房細動を検出するアルゴリズムが、高い診断精度を持つことが示されています。

    ただし、心房細動の確定診断には、必ず心電図検査が必要です。


  2. 心臓病(心筋梗塞・狭心症・心不全)

    高血圧が続くと、心臓は高い圧力に逆らって全身に血液を送り出さなければなりません。

    このため、心臓の筋肉が厚くなり(心肥大)、次第に心臓の機能が低下します。

    最終的には、全身に必要な血液を十分に送れなくなる「心不全(しんふぜん)」を引き起こすことがあります。


    また、心臓を栄養する冠動脈(かんどうみゃく)の動脈硬化が進むと、血管が狭くなる「狭心症(きょうしんしょう)」や、血管が完全に詰まる「心筋梗塞(しんきんこうそく)」を発症するリスクが高まります。

    これらの病気は、胸の痛みや息切れなどの症状を伴い、命に関わる緊急性の高い病気です。


  3. 慢性腎臓病

    腎臓は、体内の老廃物をろ過し、尿として体外に排出する重要な役割を担っています。

    高血圧は、腎臓の中にある非常に細い血管に大きな負担をかけ、徐々に腎臓の機能が低下する「慢性腎臓病(まんせいじんぞうびょう)」を引き起こします。

    慢性腎臓病が進行すると、体内の老廃物が排出できなくなり、むくみやだるさなどの症状が現れます。

    最終的には、人工透析(じんこうとうせき)や腎臓移植が必要になることもあります。


これらの合併症は、いずれも生活の質(QOL)を著しく低下させ、命を脅かす可能性があります。日々の血圧管理は、これらの病気を予防し、健康な生活を長く続けるために非常に重要なのです。


医師に伝える記録のコツと相談のタイミング

ご自宅で測定した血圧の記録は、私たち医師が正確な診断を下し、お一人おひとりに最も適切な治療方針を立てる上で、非常に重要な情報となります。日々の記録を効果的に医師へ伝えるためのコツと、医師へ相談すべきタイミングについて解説します。


記録のコツ

記録は、ご自身の健康状態の「見える化」であり、治療の大きな助けとなります。以下の項目を毎日欠かさず記録しましょう。


  • 日付と時間

    測定した正確な日時を記録します。

    「朝の測定」「夜の測定」など、時間帯も明確にしましょう。


  • 血圧値

    収縮期血圧(上の血圧)と拡張期血圧(下の血圧)の両方を記録します。

    小数点以下は不要です。


  • 脈拍数

    血圧計に表示される脈拍数も記録します。

    脈の規則性も合わせてメモすると、不整脈の早期発見に役立つことがあります。


  • 特記事項

    その日の体調(頭痛、めまい、だるさなど)、普段と違う出来事(強いストレスがあった、睡眠不足が続いた、塩分を多く摂ったなど)。

    服用した薬の種類や量などを簡単にメモしておくと、血圧変動の原因を探る手がかりになります。

    私たち医師も、これらのメモから、生活習慣と血圧の関連性を読み解き、より具体的なアドバイスをすることができます。


記録方法

ご自身が続けやすい方法を選ぶことが大切です。


  • 手書きの血圧手帳

    クリニックで配布される手帳や市販のノートを活用します。

    一覧で見やすく、継続しやすい方法です。


  • スマートフォンアプリ

    多くの血圧計メーカーから専用アプリが出ており、測定値を自動で記録・管理してくれるものもあります。

    グラフ表示で血圧の傾向を視覚的に把握できるため便利です。

    医師との情報共有もスムーズに行えます。


  • デジタル血圧計のメモリー機能

    多くの家庭用血圧計には、過去の測定値を保存するメモリー機能が搭載されています。

    受診時に医師へ提示できますが、可能であれば手帳やアプリで長期的な傾向も記録しましょう。


相談のタイミング

以下のような場合には、速やかに私たち医師にご相談ください。


  • 血圧が継続して高い場合

    数日間にわたって家庭血圧が正常値(収縮期血圧135mmHg未満、拡張期血圧85mmHg未満)を大きく超える状態が続く場合は、治療の見直しや開始が必要な可能性があります。

    自己判断で様子を見ずに、一度ご相談ください。


  • いつもと違う症状がある場合

    頭痛、めまい、胸の痛み、息切れ、手足のしびれなど、普段と異なる体調の変化や気になる症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診してください。

    これらの症状は、高血圧による合併症のサインである可能性も考えられます。

  • 血圧が急激に変動する場合

    特定の原因がないにもかかわらず、血圧が普段よりも異常に高くなったり、逆に低くなったりと、大きく変動する場合は注意が必要です。

    基礎疾患が影響している可能性もあります。


  • 治療方針や薬について疑問がある場合

    薬の副作用が気になる、治療効果を感じない、生活習慣の改善方法について詳しく知りたいなど、ご自身の治療に関して疑問や不安があれば、遠慮なく私たち医師に質問してください。

    患者さんが納得して治療に取り組めるよう、私たちも丁寧にご説明します。


継続的な家庭血圧の記録は、私たち医師がより個々の患者さんに適した目標血圧を設定し、治療計画を立てるための貴重な情報源となります。ご自身の健康を守るために、積極的に血圧測定と記録に取り組みましょう。



まとめ

高血圧は自覚症状が少ない「サイレントキラー」ですが、ご自宅での血圧測定は、この病気の早期発見や予防に欠かせません。 病院では見つけにくい「隠れた高血圧」の発見や、医師の正確な診断・治療効果の評価に役立つなど、たくさんのメリットがあるんですよ。


毎日決まった時間に正しい方法で測り続けることが、何よりも大切です。測定値を記録し、医師と共有することで、あなたに合った治療や生活習慣の改善につながり、脳卒中や心臓病などの重大な合併症を防ぐことができます。

もし測定方法や血圧計選びに迷ったら、どうぞお気軽に医師や薬剤師にご相談くださいね。今日からぜひ、ご自身の健康を守るために、自宅での血圧測定を始めてみましょう。

 
 
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